Nohana Izumikawa
2016
「70=0」
パネル キャンバス アクリル 鉛筆 色鉛筆 アルミ箔
227.3cm × 1080cm
2016
作品に登場するモチーフの夾竹桃は米軍基地のフェンス沿いに植生し、基地内が見えないよう「目隠し」の為に植えられたものである。また有毒植物であるため、植物の汁が目に入ると失明したりする恐れがあることから「目腫らしの木」という意味での「ミーフッカーギー」という方言名をもつ。基地のある日常と基地由来の事件や事故が起きる非日常が隣り合わせるその風景は、戦争から70年経った今でも変わらない。今年日本が戦後70年の時を刻んでも、沖縄は「戦後ゼロ年」のままである状況を作品化した。
作品で描かれる夾竹桃は、沖縄の基地問題を隠蔽する暗喩として描かれると同時に、自らが沖縄の諸問題に対して不明瞭さを感じているという「内面」を、植物に覆われた一つの「風景」として表現した。また、自立型の平面作品にすることで、絵画のもつ平面性と、実際に土地の境界にあるフェンスとしての「壁」、「自分」と「オキナワ」の間にある心象的な「壁」の意味といった多義性をもつ作品にした。
「Rycom/Raikamu」
パネル キャンバス アクリル コラージュ アルミ箔 鉛筆 色鉛筆 モデリングペースト
116.7cm × 233.4cm
2016
「Rycom/Raikamu」は沖縄と日本の関係性、都市化する沖縄という背景をテーマにした作品だ。これまでの制作では、沖縄=南国リゾートというありがちなイメージのカウンターとして米軍基地をはじめとする歴史の傷跡を、隠喩を用い表現してきたが、時代の流動がリゾート地や米軍基地以外の沖縄の風景を変化させているという考察のもと、基地返還後の地域変化を、ポスト冷戦世代以降を生きる私にとっての新しい沖縄イメージとして着目し制作。