Nohana Izumikawa

この作品にコラージュされているものは、大戦後の沖縄の風景、米国占領期から本土復帰の間に撮影された画像である。

別の作品制作過程において偶然入手した記録写真のデータで、ある場所に保存されており誰でも閲覧することができる。

 

ここに写っている風景は、私の記憶の中にはない。しかし誰かの記憶である。

撮影者はレンズを通して[当時の沖縄の風景]を見た。

そして私の目の前に[当時の沖縄の風景]として現れた。

記憶から記録へ、記録から記憶へ、イメージの断片が漂流していく。

 

散歩中、足元の落ち葉や木の実を見つけるように、今まで気づかなかった近所の風景に出会うように、

歴史という物語を浮遊して、過去のイメージの断片を拾い集める。

私の記憶にある[沖縄]の断片と、過去の[沖縄]の断片は、

目に見える、触れることのできる、形ある欠片となり、一枚の木板に並べられた。

時間を越えた欠片のコレクションは、あなたの記憶となる。

そしてこれからも、人から人へ、記憶から記憶へ漂流し続ける。